安倍政権で不祥事が相次ぎ、憲法改正論議は深まっていない。自民党が示した改憲4項目の他にもテーマは多岐にわたる。東京電力福島第1原発事故の避難者支援、若者の労働問題や政治参加に取り組む団体の代表者に憲法を巡る課題を聞いた。

◎YouthCreate代表 原田謙介さん(31)

 -中学、高校、大学で主権者教育の授業に取り組む。若者の政治参画意識は高まっているか。

<権利守っていく>
 「高まっている。2016年に選挙権年齢が18歳に引き下げられ、政治との接点が教育の中に入ってきた。18歳選挙権は07年に成立した憲法改正の手続きを定めた国民投票法が投票権者を18歳以上と定めたことを受け、選挙権年齢も引き下げる方向になったため実現した。この経緯を考慮すると、選挙と同様に憲法改正についても学校で学び、議論することが必要だ」

 -憲法はどんな存在か。
 「他の法律と違い、国民ではなく、権力を縛る根拠になる。国民はそれを知って使わないといけない。『憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない』と記した12条は大事な条文だ。憲法は国民にさまざまな権利を保障するが、国民も権利の上に寝ているだけでは駄目でちゃんと使いこなし、守っていこうということと解釈する。が、現状はそうなっていない」

 -改憲論議への若者の関心は。

<自分事にならず>
 「政界では盛り上がっているが、若者は重要なトピックと捉えていない。自分事と考えられないテーマで議論されても、関心を持てない。9条は大事だが、条文が変わっても自分たちの生活は直ちに変わらない。改憲を議論するならば国民に身近なテーマを設定するべきだ。教育現場では9条や国民の三大義務などを断片的に学ぶが、憲法の全体像は十分に取り上げない。これでは改憲論議に対し、意見や疑問を持ちようがない。関心を高めるには教育を変えるしかない」

 -政党の役割はどうか。

<大切なのは条文>
 「今の段階で国民が改憲を議論するのは厳しい。自民党が改憲案をより明確に示し、他の各党はそれに対する考え方を示してほしい。国会の憲法審査会で早く議論すべきだ。いざ国民投票になると各党ともプロパガンダしかしない。各党が議論することで、その相違点を知ることができる。野党は改憲自体が駄目ならば、なぜ拒むのかを明示してもらいたい」

 -安倍晋三首相は20年の改正憲法施行に意欲を示す。
 「改憲は時期ありきで議論すべきでない。仮に時期を区切るならば、改憲勢力は改憲までのステップを明確に示すべきだ。例えば政局の流れで議論すると約束したことの半分しか議論できないまま、改憲が発議されたらあまりにもひどい、ということになる」
 「一方、野党の中には安倍首相の下で改憲を議論するのはとんでもないという意見もあるが、この主張も理解できない。条文をどうするかというのと全く関係ない。きちんと条文に着目した議論をしてほしい」
(聞き手は東京支社・小木曽崇)