山形県寒河江市は本年度、市内にある国史跡「慈恩寺」の魅力に磨きをかけ観光資源として活用しようと、市長部局の「慈恩寺振興課」を新たに設けた。市教委生涯学習課が担当していた文化財行政の分野に加え、寺関連のイベントPRなど観光分野の施策を所管する。専任は50代の課長と40代の課長代理の2人だけだが「地域の宝を全国に発信したい」と使命感に燃えている。

 慈恩寺振興課は、旧境内の整備基本計画が本年度から実施に移されるのに合わせて設置。当面は危険だったり、景観を損ねたりする樹木の伐採、標識や案内板の整備が主な業務になる。
 「さくらんぼ観光課」が担ってきた宣伝も引き継ぎ、慈恩寺の歴史や文化財の価値を伝えるガイダンス施設(2021年度完成予定)の基本設計にも携わる。
 慈恩寺は、聖武天皇の勅命で開山したとされ、約1300年の歴史を有する。旧境内は14年に国史跡に指定され、本堂は国の重要文化財。京の貴族文化の流れをくむ文化財が多く残るほか、江戸時代には独自の山伏修行が盛んだったという。
 慈恩寺振興課は市役所4階の一角。専任職員は共に生涯学習課から異動し、他に同課と企画創成課から職員各1人が兼務の辞令を受けた。後藤芳和課長は「慈恩寺に特化した役割を果たし、地域の財産に光を当てたい」と意気込んでいる。
 慈恩寺を生かした地域づくりを目指す住民グループ「悠久の里慈恩寺運営委員会」の矢作健二事務局長(63)は「守るべき文化財と見るか、地域資源として利用するかを巡り、市教委と観光課でスタンスが異なっていた。今後は窓口が一本化され、より円滑に連携できると思う」と期待する。
 慈恩寺の布施智典(ちでん)管長代行(43)も「市が一体となって取り組む体制が整ったことはありがたい」と話している。