岩手県田野畑村が「ふるさと納税」による寄付の低迷に頭を悩ませている。県内市町村で唯一、返礼品を用意していないのが要因とみられる。自治体間の返礼品競争が過熱する中、東日本大震災からの復興に取り組みながら「村を思う方々の厚意」(総務課)を待っている。

 制度が始まった2008年度から17年度までの村の年間平均寄付額は458万円。震災が発生した11年度こそ過去最多の653万円を記録したが、翌年度には426万円に戻ってしまった。
 寄付は毎年度、自然環境保全、子育て支援など5事業の財源に組み入れてきた。人口約3500人の村にとっては貴重な財源で「少額でも応援してもらえることがありがたい」と感謝を忘れない。
 一般にふるさと納税を活用した寄付は、自治体からの返礼品が話題になったり、減税手続きが簡素化されたりして年々増加の一途をたどっている。自治体側も「地元の産業振興につながる」と返礼品の充実を競ってきた。
 そんな中にあって村は「過度の返礼は制度の趣旨を損なう」と「清貧の思想」を旨としてきた。村外からの寄付者には、真心を込めた「特別村民証」を交付する。
 小さい村役場は、震災復興事業で多忙を極めているという事情もあり「現状では返礼品に関する事業に乗りだす人的余裕がない」という。
 ふるさと納税制度に詳しい東北活性化研究センターの木村政希主任研究員は「返礼競争は今後落ち着くとみられるが、返礼品と寄付額の関係性は否定できない。返礼品となる村の特産品開発に寄付金を使うのも手ではないか」と助言する。