出所後の再犯防止に向け、秋田刑務所(秋田市)が秋田大(同)との連携を強めている。データを駆使するなど、心理学の知見を生かした指導で受刑者の更生を後押しする。大学側も現場で学ぶ機会を確保することで、臨床心理の専門家の育成につなげる考え。双方の人材と知識を生かし、犯罪のない地域づくりを目指す。

 両者の協力は、薬物依存で罪を犯した受刑者らを対象とした「特別改善指導」が中心。今年4月から秋田大の北島正人准教授(臨床心理学)が現場を訪れ、刑務所の教育専門官と一緒に教壇に立っている。
 半年間、2週に1回のペースで12回を予定する。北島准教授が受刑者の性格や態度変化といったデータを分析し、より実効性が高い指導内容を検討する。
 今月2日には、なぜ薬物依存に至ったのかをテーマに指導を行った。受刑者6人がグループになり、専門官に発言を促されてそれぞれの事情や当時の感情を振り返った。
 薬物への欲求を抑制する効果があるというストレッチも北島准教授が解説した。男性受刑者は「自分を客観的に見ることができた。出所後に依存しない自信につながる」と語った。
 秋田刑務所は刑期10年未満の受刑者430人を収容する。2015年の再犯率は25.5%と、全国平均(18.0%)を上回る。
 特別改善指導は全国で実施しており、成果は各刑務所の専門官の力量が左右するとされる。秋田刑務所の専門官は「受刑者に合わせて指導内容を変えているが、大学の専門家と一緒に検討できるので高い効果が期待できる」と話す。
 連携は大学側のメリットも大きい。
 9月には臨床心理分野の国家資格となる「公認心理師」の試験が初めて行われる。指導スタッフとして心理学系の学生に刑務所で活動してもらうなど、資格取得に求められる実習の協力先としても手を携える。
 今秋には専門官ら刑務所職員を招いてフォーラムも開催。刑務所の実態や特別改善指導について学生に理解を深めてもらうという。
 秋田刑務所の専門官と北島准教授らが以前から交流していた縁があり、今年2月に大学と包括連携協定が交わされた。北島准教授は「再犯は出所者を受け入れる社会の問題でもある。学生の頃から理解を深めれば出所者が罪を再び犯すことのない地域づくりに貢献できる」と語る。