かやぶき屋根の秘湯旅館として知られる山形県米沢市の白布温泉「西屋」が、イベントや会議の会場として、木造母屋(築約200年)の茶の間の無料開放を始めた。黒光りする太いはりと高い天井、いろりや家具など、歴史を感じさせる空間で交流の輪を広げようという試みだ。
 広さ20畳の茶の間は、19代目社長の遠藤友紀雄さん(54)が小学生の頃まで日常的に使っていた。客室棟の拡張などに伴い使用頻度が減り、近年では夏場にミニコンサートを開いたり、入浴客が休憩したりする場所として使う程度になっていた。
 かつて西屋に宿泊したことのある米沢市出身の画家福崎翼さん(奈良市)から1月、個展会場として7月から1カ月間、使わせてほしいとの申し出があり、半ば放置されていた空間に光が当たった。
 無料開放のプランを進めた若女将(おかみ)の央子(ひさこ)さん(39)は「福崎さんから茶の間の魅力を伝えられ、改めて価値に気付いた。歴史ある温泉と建物を多くの人に伝えたい」と話す。
 今後、照明や家具の配置などを整えて、より使い勝手のいい空間を目指す。利用者には日帰り入浴料の割引サービスも行う考えだ。
 かやぶき屋根の建物は1800年代初めに建てられ、米沢市の景観重要建造物に指定されている。白布温泉では2000年3月にあった火事で西屋に並ぶかやぶき屋根の旅館2軒が全焼したため、西屋だけが歴史を引き継ぐ建物となった。
 連絡先は西屋0238(55)2480。