仙台市は16日、農地を宅地化する2件の開発行為の許可手続きで、開発調整課の男性職員が内部の決裁を経ずに許可通知書と検査済証を交付する不正があったと発表した。申請者への便宜供与などの意図は確認されていないが、課長が不正を指示したケースもあり、市は事件性の有無を含めて仙台中央署に相談している。
 市によると、不正があったのは2012~17年度に許可手続きが進められた太白区と宮城野区の開発行為。昨年9月に発覚し、業務に関わった職員13人と申請者への調査を今月上旬まで実施した。
 太白区のケースは12年1月と7月、地権者の法人が許可申請書を提出。いずれも男性職員が受け付けたが、引き継ぎの過程で申請書類が所在不明になった。
 許可通知書の発行には申請書類が必要。男性職員は課長に相談し「申請者に迷惑が掛からないようやってくれ」と指示され、文書を作って決裁を得る本来の手続きをせずに交付した。
 工事後の完了検査は問題なく行われたが、申請書類は依然見つからず、男性職員は再び課長に相談。事後に決裁することを決め、同12月、本来の手続きを踏まずに検査済証を発行した。
 開発行為の手続きを記す開発登録簿も、男性職員は写しのような文書を自作して交付した。昨年6月と8月、別の職員が男性職員の行為に疑問を抱いて部長に相談したが、不正な写しの交付を指示された。
 宮城野区のケースは昨年9月、申請書類が一切残っていないのに検査済証が発行されていたことが分かった。男性職員が12年5月に申請を受け付け、工事が行われたが、市が許可書を交付した形跡はない。申請者の手元にもないが、「手続きは適切にやった」と話している。
 市によると、男性職員は「開発が遅れてはいけないと思い、やむを得ず決裁を省いた」と釈明したという。2件の申請は東日本大震災の約1年後で、開発行為の手続きが殺到していた。