支笏湖北岸の恵庭岳に、札幌冬季五輪のスキー滑降競技コースがあった。そこを滑った経験がある知人は「おれの脚力では曲がれなかった」と語っていた。
 そんなステージでコンマ以下の秒差、点数差の争いを繰り広げる五輪選手は超人だ。並ではないものの、生身の人間ではある。平昌冬季五輪のスノーボード男子ハーフパイプ決勝で、戸塚優斗選手が負傷して運ばれるのを見て、目を覆いたくなった。
 一線の選手にはけがが付きまとう。やはりスノボの平野歩夢選手は、左膝ばかりか肝臓まで傷める転倒事故を乗り越え、銀メダルを手にした。誰だか忘れたが「競技に命を懸けている」と発言したのを聞き、背筋が伸びた。
 かく言う小生は、中学で膝を負傷し、早々に競技を諦めたクチだ。痛みから解放された時には、社会人になっていた。だから、というわけでもないが、けがの痛みと無念さは知っている。ただ、乗り越えた経験がない。選手たちとの埋めがたい隔たりは、そこらへんにもあるのでは。
 紙面を飾るアスリートの勇姿が、まぶしくて仕方ない。
(整理部次長 野村哲郎)