先日の経済面で、東北6県では企業の新規上場が3年間ゼロだったというニュースを扱った。
 株の入門書に「いやでもわかる株式」がタイトルの文庫本があった。20代半ばで思いがけず経済分野の取材を命じられ、面食らっていたら先輩が一読を薦めてくれた。
 製造業の経営者が熱心な証券マンとともに上場を目指すドラマ仕立て。経理の強化や東証の審査を経て企業が成長する筋書きを追ううちに読み終え、なぜか学生時代に敬遠していた経済の仕組みが分かったような気になった。
 物語には「成長株」を見極めながら初めて株を買う初心者も登場する。株を知りたいなら自腹を切って投資してみなさい、損をしないようおのずと経済観が養えるから-とでも言いたかったのだろう。
 ついこの前、当時の自分と同年代の若手が「選挙取材が好きになれない。どうしたら楽しくなるか」と悩んでいた。
 入門書を思い出し、「自分に1票があったら誰に投票するか、投資でもするような気持ちで情勢を読んでみてはどう?」と答えておいたが、通じただろうか。
(報道部次長 佐々木篤)