第81回河北美術展(4月26日開幕)の審査員に、日展副理事長で洋画家の佐藤哲さん(74)が新たに加わった。先日、静岡県熱海市のアトリエを訪ね、興味深い話を聞いてきた。
 若い頃から自らの感覚に任せて絵を描いてきた佐藤さん。「絵画の技術論などは真面目に考えたことはなかった」。ところが50代を目前にして、師事していた洋画家江藤哲さんが亡くなり、状況が一変する。
 絵のことは師匠に頼っていれば済んでいた。それができなくなり、描くことに行き詰まったという。「絵の理屈を自分で考えなくては…」と模索を始めた。
 構図の基礎、表現方法。自分で考え、自分の言葉で体系化していく。それを一冊の本にした。「もっと自由に絵を描こう」(一枚の繪)を出版したときは60代になっていた。
 「感覚だけでは、やってみないと分からない。でも理論を身に付けた後は、納得しながら描けるようになった」と佐藤さんは語る。
 それまでの実績があるのにもかかわらず、一から勉強を始めるのは、簡単なことではない。50代で初心に帰った佐藤さんの選択に学ぶことは多い。(生活文化部次長 加藤健一)