クラス代表6人の卒業証書を読み上げる丹野純一校長の声が3人目で突然、途切れ途切れになった。1期生140人を送り出した福島県ふたば未来学園高(広野町)の卒業式。校長は涙について「壇上から顔が見えるから、一人一人の物語が頭に浮かんでしまって」と照れくさそうだった。
 7割近くが双葉郡出身で東京電力福島第1原発事故による避難を経験。学業やスポーツでの華々しい活躍に加え、苦手だったコミュニケーションを取れるようになるなど成長の物語が生徒の数だけあったという。
 「僕もしゃべるのが得意でなかった」と話したのは、春から大学で農業を学ぶ太田湧慎さん(18)。地域ゆかりの菓子作りに参加して販売したり、地産地消の学校給食を考案して実現させたり。活発な姿を見ていたので意外だった。
 広野町からいわき市に避難していた中学時代は、周りの目が気になった。「ふたば未来の授業は話す機会が多い。自分でも何とかしたいと、行事があれば毎回手を挙げた」と振り返る。
 環境が整い、強い意志があれば道は開け、自信も生まれる。震災7年の春にすっかり元気づけられた。
(いわき支局長 佐藤崇)