あっぷあっぷ。水に溺れかけて苦しむさま。非常に困っているたとえにも使う-。辞書にはこうある。置かれている状況はまさにそんな感じだ。
 福島総局から3年ぶりに本社に戻り、整理部に配属された。先日のデスク日誌でも紹介された「新聞整理の未経験者」10人のうちの1人である。
 担当は「出しデスク」。自社と通信社の原稿をどの面に配置するのかを決め、原稿を出す。習うより慣れろとばかりにほぼ研修なしで放り込まれた。
 ニュースの価値判断にまず迷う。通信社から次々と届く差し替え原稿。写真や地図は使う? 使わない? 夜が更けて新たなニュースが飛び込んできた。恐ろしい速さで降版時間が近づいてくる。
 「お前、目が泳いでいたらしいな」。新米の仕事ぶりを側聞した先輩に笑われた。本人も溺れかけているのを十分に自覚している。目が泳ぐぐらいは当たり前だろう。
 ひと月たつが、いまだに周囲の助けがなければ、おぼつかない。「すいすい」とまではいかなくても、せめて原稿の渦にのみ込まれないよう早くなりたい。
(整理部次長 大友庸一)