桜の花が絵の上に落ちた。時がゆったりと流れる。4月上旬、洋画家藪野健さん(74)が仙台市内でスケッチする様子を見学した。
 河北美術展で審査員を務める藪野さんに東京都内で事前取材した際、お薦めの風景を紹介した。審査の前日に訪問していただいた。
 最初に描いた佐藤屋は中国の文豪魯迅の下宿跡。広瀬川沿いに立つ木造の建物が周囲の樹木と調和し、魯迅ファンが時折訪れる。
 藪野さんは水彩絵の具を混ぜ、手際よく塗った。乾かないうちに色鉛筆で上からこすった。「こうすると樹木の自然な感じが出るんです」と教えてくれた。
 東北大片平キャンパスに移動し、古い校舎をいくつか見学した。片平は以前訪れたことがあるそうで「取り壊された建物がありますね」と時の流れを実感していた。滞在中に仕上げた絵は3枚。いずれも懐かしさを感じさせ、仙台の魅力を再発見させてくれた。
 藪野さんは街歩きの達人。「東京2時間ウォーキング・下町編」などの著作がある。「仙台の街歩きを推奨する本が出来上がるかも」。そんな期待を抱き、再びスケッチに同行する日を楽しみにしている。(生活文化部次長 喜田浩一)