「姪(めい)らと撮影 16歳の太宰治」(東京新聞2009年4月29日掲載)-。五所川原市金木町の「太宰治疎開の家-旧津島家新座敷」に、同業他社のN先輩の署名記事が展示されていた。
 福島での駆け出し記者時代、同じ青森県人ということで五所川原出身のN先輩に大変お世話になった。転勤される出発直前、自宅まで別れのあいさつにも来てくれた。あれから30年。同郷の文豪の邸宅で、N先輩と再会できたように思え、晴れやかな気分になった。
 新座敷を管理運営する白川公視(ひろし)さん(50)によると、斜陽館の来場者のうち新座敷も訪ねる人は数%。150メートル先の裏・斜陽館とも呼べる聖地を素通りする人があまりに多く残念という。
 新座敷来館ノートには、「今年も、又来れますか?来れました。来年も、又来れますか?来れますよ」と書いた又吉直樹氏をはじめ、太宰ファンらの感想がぎっしりと記されていた。
 斜陽館前の物産館で「太宰らーめん」を食べた。根曲がり竹とワカメ、煮干しだしのしょうゆ味。真っ白い丼の内側には「元気で行こう。絶望するな。では、失敬」の一節。『津軽』からの抜粋だ。腹いっぱいになった。
(青森総局長 長内直己)