「今日は打線の話を書こうと思います」。プロ野球東北楽天の試合がある日、ゲーム終盤になると球場にいる記者が執筆する原稿の方針を電話で伝えてくる。
 その日は先発投手の好投で東北楽天が勝利。「ピッチャー中心の方がいいんじゃない?」と聞くと、「1~3番の打者3人を取り上げたい」と返ってきた。
 送られてきた原稿を見て「面白い」と感じた。東北楽天の1番田中、2番茂木、3番島内が波に乗っているという内容。ファンの間で期待が高まっているトリオだと書いてあった。
 記者は選手から取材したネタを温め、その選手が活躍したときに記事にする。現場で取材していないと得られない情報が原稿に盛り込まれていると、デスクとしてはうれしい。同時に、取材の充実ぶりが原稿ににじみ出ているとちょっぴりうらやましくもなる。
 6月、忙しい楽天取材キャップからメール。「一緒に取材に行きませんか?」。魅力的な誘いだが「デスクが現場にしゃしゃり出るのは良くない」と断った。本当の理由は、取材に参加しても全く役に立たないことを私自身がよく分かっているからなのだ。(スポーツ部次長 本多秀行)