原稿をボツにする。紙面に載せないことをボツと言う。どれを使い、どれをボツにするか。担当する「整理部出しデスク」の仕事はそれだけとも言える。
 紙面に載る原稿よりボツがずっと多い。100本超の原稿の中から紙面に載せるのは20~30本。7、8割がボツ。新たな原稿を入れるなら、別の原稿を外すか短くしなければならない。
 新聞も商品である。その日、読者が読みたいと思うような記事を漏らさずお届けしたい。「どのメディアも大きく伝えているのに弊紙だけ載っていない」。それを「特落ち」と言う。取材現場にいたころ最も恐れていた。原稿を取捨選択する整理部も同様である。
 他がどんな紙面を作ろうとしているか事前に知るすべはない。「これ本当にボツ?」。次々に送信されてくる原稿を即座に判断しながら一瞬一瞬が怖い。価値判断を誤っていないか。この世界で過ごしてきた蓄積が試される。
 他と横並びの紙面を作る気はない。東北に住む人に向けた東北の新聞だから。ただ全国ニュースも過不足なく。スペースは限られている。そこが難しい。あぁ紙面が無限にあればなあ。
(整理部次長 八代洋伸)