今年も4200円分の振替払出証書が郵便で届いた。原発の立地、周辺地域に対する原子力立地給付金。国の電源立地地域対策交付金を使い、地域振興や福祉向上を図る実質的な電気料金の割引措置だ。
 いわき市は東京電力福島第2原発が立地する楢葉町に隣接する。支局赴任1年目の昨年、証書が届き、約20年前を思い出した。
 取材した青森県の自治体は核燃料サイクル施設の周辺地域で、同種財源の交付金を公共施設の整備・維持に使っていた。住民や企業の還元を求める声に対し、財政難を理由に継続した。
 福島県内の各自治体は割引措置を選択。地元住民が経済的恩恵を直接得られる仕組みで、原発立地への理解を促す役割も担ったとされる。ただ廃炉作業が進む福島第1原発分の給付は2016年度で終了した。
 第2原発は廃炉方針が示されたものの、正式決定ではないため、隣接を含む6市町村で給付が続く。原発事故を経たことで、複雑な思いを抱きながら受給している住民がいるかもしれない。被災者でもなく、取材する立場の自身はどうしたものか。今年も払い出しは受けないでおこうと思う。
(いわき支局長 佐藤崇)