福島県の中通り地方ぐらいだと思っていたが、会津地方にもあった。郷土料理「いかにんじん」。先日、会津若松市の居酒屋で注文した。細く切ったするめと刻んだニンジンを、しょうゆと酒ベースのたれに漬けるだけ。シンプルな冬の常備菜で、県北地方では正月に欠かせない味だ。
 地味な家庭料理だが、福島市出身の俳優佐藤B作さんがテレビ番組で紹介し表舞台に。20年ほど前だったと記憶する。地域おこしに一役買い、「福島の逸品」に成長したのは東日本大震災と原発事故後。いかにんじん味のポテトチップスが登場した時は社長が福島市出身と聞き合点がいった。
 筆者も子どもの頃、こたつに入りながら大きな裁ちばさみでするめを切らされた。ソウルフードに胸が騒ぐ。TKG(卵かけご飯)に続きINJ(いかにんじん)と呼ばれるブームも近い? 期待も妄想も「やめられない、止まらない」。
 居酒屋で出合ったいかにんじんは、少々濃い味付けだった。はしごしたスナックではユズが添えられ、よそ行きの装いだった。あっさりとしたわが家の味は自分で作るしかない。今年もそんな季節になった。
(会津若松支局長 玉應雅史)