冬巡業を全休した横綱稀勢の里関が再起を懸けた初場所が13日に開幕する。一つの黒星でもこれまでの場所とは意味が違ってくる。序盤から目が離せない。
 スポーツ面担当者はテレビで試合を確認しながら、見出しを含めた紙面構成を思い描くことが多い。特に大相撲は会場の雰囲気をつかみやすい。職場の大きく鮮明な画面で見ると力士の様子以上にはっきりするのが行司の姿だ。
 一般的なスポーツの審判と違い大相撲の行司のいでたちは華やか。色鮮やかな装束にしゃれた文様や所属部屋や後援者にちなんだ文字が引き立つ。軍配にはそれぞれ行司の心構えを示す語句が入り、階級ごとに違う色の飾り房。最高位の立行司は帯刀を許され、真剣勝負の緊張感が伝わる。
 瞬時に勝ち力士に軍配を指せるのか不思議に思っていた。根間弘海さんの「大相撲行司の世界」(吉川弘文館出版)によると第29代木村庄之助さんは心構えとして、東西を間違わないように土俵正面には回らない。そして勝負がつくときは、まず「負け」を見て、それから「勝ち」に軍配を上げる。行司の「技」にも注目が集まればと願っている。
(整理部次長 足利克寛)