青森市の高齢女性が昨年6月に相次ぎ殺害されて半年が過ぎた。現場は旭町1丁目の民家と100メートル南西の自宅兼店舗。規制線の黄色いテープが張られた玄関前には雪が積もっていた。
 かつて近隣は「旭(町)遊郭」と呼ばれる色街だった。明治期まで海沿いの港町で栄えた「柳原遊郭」が1910年の大火で焼失。風紀上の問題から東北線(現・青い森鉄道)南側にある現在の旭町に特殊地帯を作り、県が移転を促したという。57年の売春防止法施行後、妓楼(ぎろう)は旅館や居酒屋に転業。今は住宅街だ。
 旭町の地名は高校1年のこの時季に知った。作業員をしている小・中学時代の同級生から聞いた。「おごるから遊びに行こう」と平然と言う。返答に困った。
 地域情報紙「めご太郎-帰省するつもりで訪れる青森市」(星羊社、2017年)には、「旭遊郭」と記された大門正面から撮った往時の風景が載っている。写真と変わらぬ外観の廃業旅館を見つけ、息をのんだ。
 「早く犯人を挙げましょう」。年末の青森県警との懇談会で、旭町に住む同業他社の知人が訴えた。捜査関係の幹部が小さくうなずいた。沈痛な面持ちだった。
(青森総局長 長内直己)