携帯電話が鳴った。<022(●●●)7171>。下4桁に見覚えがあった。二十数年前の駆け出しの頃、毎日のように電話したから。仙台市内の警察署の番号だ。何ごとか! と思って出ると「自転車、盗まれませんでしたか」。
 すっかり忘れていた。昨年夏、自宅マンションの駐輪場に施錠をせずに止めていたのを盗まれた。見つかるはずもないと諦め、盗難届を出さずにいた。
 事件捜査の過程でたまたま見つかったのだという。盗み出した何者かが市内のとある場所に放置し、その後に別の人が乗り回していたようだ。
 防犯登録はとっくに切れていたが、メーカーに出荷先などを問い合わせるなどして、持ち主を割り出したという。盗まれやすい状況をつくってしまった自分を恥じた。
 翌日、引き取りに警察署を訪ねた。隣の署の担当だったが、新人記者時代を思い出した。午前中は基本的に署に詰め、事件や事故があったら記事にして夕刊用に電話で吹き込む。先輩から何度も駄目出しされ、公衆電話と署幹部の間を行ったり来たりした。酸っぱい記憶がよみがえった。
(整理部次長 大友庸一)