いわき市平二小で先日、東日本大震災で中止になった卒業式があった。元児童の発案で8年を経て実現した。「胸のつかえがおりた」「止まっていた時計が動きだした」。多くの関係者が取材に、これまでの心残りについて語った。
 「卒業生」代表であいさつした大学生馬目夏子さん(20)は「中学、高校と卒業式を経験する度、小学校を思い出して何とも言えない思いに駆られた」と明かした。
 卒業証書は中学入学式後に同校で手渡された。担任の一人だった鈴木祥江教諭(43)は「中学校の制服を着た子どもたちは、遠い世界に行ってしまったように感じて悲しい気持ちになった」と振り返った。
 地震、津波に東京電力福島第1原発事故の影響も加わり、被災地では多くの行事が中止され、数え切れない心残りが生まれた。そして、古里を離れたままの人たちは今なお、心残りを重ねているのかもしれない。
 馬目さんは「卒業式ができなかった思い出が、成人式を前に『できた』に塗り替えられ、喜びを感じる」と語った。新たな思い出が前に進む力になると信じたい気持ちになった。
(いわき支局長 佐藤崇)