「まずは同じ土俵に立ってからだ。なら話は聞く」
 主張が心に残った。
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で剥ぎ取った汚染土壌を、南相馬市小高区の常磐自動車道の拡幅工事に用いたいとの環境省案が明るみに出た。
 地元説明会を拒んだ行政区長の言説は冒頭に続く。
 「まずはここに住み、事故後8年近くの住民の思いを知ってもらってからだ」
 当然だろう。
 汚染土は中間貯蔵施設に全て移し、その後県外に搬出する-というのが当初の約束だからだ。貯蔵用地のめどが立たないから、汚染土を地元で使えというのはお門違いに映る。
 地区の裏山には、汚染土を詰め込んだ多くの黒い袋が野積みになったままだ。
 事故前37戸の行政区に避難指示解除後、22戸が戻った。さらに若者らを増やそうと懸命に努力している。
 安全な土壌というなら電力を享受した東電管内で実証してはどうか。セレブとやらが住む地区の工事に使用提案してみたらいい。
 角界では玉鷲関が初優勝を飾った。長く土俵に立ち続けた努力の成果だろう。国にも短絡的でない地元側に立った思考を望みたい。(南相馬支局長 佐藤英博)