この時季、本紙で欠かさず目を通すのが「スギ花粉予報」の欄。スギ花粉症の減感作療法を始めて1年9カ月になるが、「非常に多い」の日はいまだに鼻の奥がむずむずする。
 先日、私用で群馬県に行った。「あれが赤城山。左は榛名山。明日は赤城おろしがきついですから、気を付けてくださいね」と、地元の人に言われた。
 翌朝、ホテルの外の信号機が支柱からグワングワンと揺れていた。名にし負う上州名物の空っ風である。ふと見上げた空が、何だか黄色っぽい。「黄砂か」と思ったが、違った。
 くしゃみが止まらなくなった。頭が重い。1年9カ月の努力はどこへ。症状は宮城県に帰り着いても治まらなかった。私の中で、上州名物が一つ増えた。
 決して油断していたわけではない。マスクくらいでは防ぎ切れなかったろう。「減感作療法は最低でも3年は続けて」と医師に言われている。本物の抵抗力を獲得するには、まだ努力が必要だということ。
 この文章を書いた日の予報も「非常に多い」。編集局のあちこちから「クシュン」「ハクション」と聞こえてきた。
(整理部次長 野村哲郎)