「できたばかりの校歌の詩を送らせていただきます」。福島市の詩人和合亮一さんからメールが届いた。
 福島県浪江町の「なみえ創成小・中学校」。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示解除を受け、昨年4月に開校した。新年度は16人の児童・生徒が通う。
 和合さんは、若い頃、よく自転車で浪江の浜辺を訪れた。くらし面に連載中の「詩ノ交差点アリマス」で当時のことを「ぼうぜんと海を眺めていると、大きな宇宙の時間の底にぽつりと存在しているようで詩のようなものを書いてみたくなったものだった」と記す。
 校歌の作詞を依頼され、震災後、初めて現地に出掛けた。津波による付近の変わりように言葉を失った。だが、光明も見いだす。
 「沖の海景の明るさは変わっていない。子どもたちに景色を、あの光を贈りたいと思った」
 校歌の一節に「はじめの光を胸に生きる」という言葉がある。先月開かれた校歌完成の集いで、和合さんは、ここが最初にできたと語ったという。苦難の中でも、ふるさとの海の輝きを忘れないで前進してほしい。そんな思いが込められていると感じた。(生活文化部次長 加藤健一)