4月も半ばをすぎると、野鳥たちは恋の季節を迎える。野山で恋歌を奏で、雌を獲得する闘いが始まる。
 メジロやシジュウカラ、渡り鳥のオオルリなどが、自慢ののどを披露する。早く恋人を得なければならない。巣を作り、卵を産み、育児に励み、ヒナたちに餌のとり方を教える教育が待っているからだ。
 ぼやぼやしていたら夏を越え、気が付いたら独り身のまま冬ということになってしまう。鳥の歌声も心なしせわしく聞こえてくる。
 何年か前の春、カワラヒワの求愛と給餌の場面を撮影したことがあった。雄が雌にエサをプレゼントすると、雌は身を丸くし、甘えた声を出しながら口を開けて、ヒナのようなしぐさをする。これがなかなか色っぽくて、見ていてドキマギしたことを覚えている。
 田んぼのあぜ道では、枯れ草をおわんのようにきれいに編んだ鳥の巣を見つけたこともあった。中には3羽のヒナと1個の卵。ヒバリの巣だった。のぞいていたら、怒った親鳥が何度もこちらの体をかすめて飛んで行った。
 野山の鳥が命をつなぐ季節。いつも同じようだが、いつも心が和らぐ。
(写真部次長 及川圭一)