「自治体行政と地域コミュニティの関係性の変容と再構築」(東信堂)という本を買ってしまった。320ページもあって、重い。
 読むのか。いや、読む。同い年の友人が四半世紀を費やした思索の結晶だ。
 従来「個人」と「統治」の関係だけで論じられてきた自治体の行政。だが、その境界には法的根拠も代表性もない「共同」が存在する。第3の領域とも呼ぶべき「共同」の有用性を解き明かしたのが本書である。
 と、こんな感じの書評で大丈夫だろうか。
 著者は中央省庁を辞して旧岩手県東和町に移住した役重真喜子さん。「ヨメより先に牛(ベコ)がきた」(家の光協会)を書いた人と紹介した方が通りはよさそうだ。
 平成の大合併で消滅の瀬戸際にある伝統集落だが、役重さんは「再生できる」と結論付けた。現に仲間たちと「忙しくて仕方ない」とぼやき合いつつ、笑顔で地域を飛び回っている。
 俗に「地の人、風の人」と言う。転勤商売の記者は風の人。それも悪くはないが、役重さんは20代で大いなる田舎に根を張った。友人の歩んできた道のりを文中にたどり、少しうらやみながら読み進めている。
(盛岡総局長 矢野奨)