大型連休に超大作を読破した。ドストエフスキー、のはずもなく、ちばてつやさん描く「のたり松太郎」だったりする。漫画ではあるが名作には違いない。
 怪力自慢の怠け者、松太郎が角界を舞台に大暴れする物語だ。松太郎の相棒が弟弟子の田中君。気は優しくて力持ち。口下手で泣き虫。人の良さが災いし、毎回珍騒動に巻き込まれる。
 はて? 似たのが近くにいたような…。
 新人記者が相撲取りのような巨体を揺すって「早退したい」と言いだした。なんと号泣している。
 聞けば子どもの頃から仲良しだったミニチュアダックスが死んだという。実家に飛んで帰ってミルクちゃんにお別れを言いたいと、体重100キロが辺りはばからず泣きじゃくるのである。ど迫力に気おされて思わず忌引を許可した。
 漫画の田中君は努力で弱気の虫を克服し、ついに最終巻で賜杯を手にする。生真面目な人柄が雑誌連載中に共感を呼び、才能にあぐらをかく松太郎から主役の座を奪ったのだった。
 記者も同じと信じたい。いつの日か読者の共感を呼ぶ記事をものにするのは、きっと田中君タイプだぞ。
(盛岡総局長 矢野奨)