特別な米を求めて、先日、大崎市の農家、斉藤武康さん(69)を訪ねた。

 目当ての品種は「たきたて」。わが家のご飯は「ひとめぼれ」2に「たきたて」1のブレンドが定番。ひとめぼれ単品で炊くより、ご飯の色つや、舌触りが格段に向上するように思う。

 宮城県古川農業試験場が開発した「たきたて」。米粒が小さく、白濁し、割れやすい。市場に敬遠され、作付面積は宮城県内で4ヘクタール弱にとどまる。その4割が斉藤さんの田んぼだ。

 「今春の種もみは確保しました。その先については何とも…」。パッケージに「さいとうさんちの幻の米」とシールが貼ってあるが、まさに存続の瀬戸際だ。

 かつて、ご飯の風味を高めるとブレンド用に重宝された香り米も、風前のともしび。「もみが落ちやすいので、手で刈り取るしかないんですよ」と斉藤さん。「たきたて」や香り米に限らず、見た目の悪さ、作りにくさが原因で、どれだけの農産品が幻の仲間入りをしたことだろう。

 経済効率の一面的な問題が、食の大切な部分を置き去りにしている。米粒ならぬ、ほぞをかむことがないとよいが。
(整理部次長 野村哲郎)