本屋に行くと、写真集はアート系のコーナーに並んでいる。アートには違いないが、写真は実は光学の産物。ちょっぴり理系な能力も求められたりする。

 例えば被写体まで届くストロボの光。距離が2倍になれば光量は4分の1になり、それを承知して絞りを加減しなければならない。今は昔の話だが。

 そう言えば、昔から「写真は足し算と引き算」と言われた。画面の中に何を入れて何を入れないか、その判断で出来栄えが大きく左右される。

 名だたる写真家ともなると、独自の“計算”を行っているらしい。「人間は割り切れない。写真は割り切れない人間を、四捨五入する」というのは、立木義浩さん(82)の言葉。

 立木さんは女優の夏目雅子さんや作家の開高健さんのポートレートで有名。市井の人たちの作品の数々も人間味あふれる。

 意味深な立木さんの話を大胆かつ勝手に解釈すれば「人間というものはとかく分かりにくい存在。それを撮ろうとするなら、足したり引いたり割ったり、余りを出したりしながら、とにかく悩み続けろ」。そんな教えだと受け止めたい。
(写真部次長 門田勲)