2000年の第1次地方分権改革から20年。分権改革を論理面で主導した行政学の西尾勝氏は「自治体は独立した法令解釈権を有する」と地方を鼓舞したのだが、現状はどうか。

 新型肺炎の拡大と安倍晋三首相の休校要請で国中が恐慌を来している。「法令」どころか単なる「お願い」に大慌てで休校を決めた県や市町村が悲しい。

 「総理大臣による地方自治への不当介入だ」と反発する姿勢を見せたのは滋賀県湖南市長らごく少数だった。岩手のある首長は「市町村任せにせず、県が判断してほしい」と自己決定権を放棄し、てんとして恥じる様子もない。

 都市部ならともかく、山間地の小規模校まで右倣えするさまを見るに付け、しょせんは官制の改革だったかとため息が出る。

 どうしてこんなことになったのだろうと考えたときに思い当たるのは、やはり東日本大震災だった。地震と津波と原発事故が自治の現場を破壊し、湯水のように注がれた復興予算が自立の意欲を枯らした。

 学校から子どもたちの姿が消え、9年前と似た状況に息苦しさを感じつつ、今年も震災忌が訪れた。
(盛岡総局長 矢野奨)