東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の佐藤仁町長は、震災10年となる来年3月までを目標に、北海道から沖縄まで復興支援御礼の全国行脚を続けている。

 昨年6月、その皮切りとして選んだ地が登米市。震災直後の救援や復旧復興に尽くしてきた同市の支援者への感謝状贈呈式の光景が今も忘れられない。

 「壊滅した町がここまで復興できたのは皆さまのおかげ。苦しい時に力になっていただき本当にありがたかった」。涙ぐみ、声を詰まらせながらの町長の謝意に、出席者の多くが息をのみ、心を揺さぶられた。

 登米市は沿岸部を救援する内陸の拠点となり、自衛隊や警察、消防などの隊員が全国から駆け付け、支援物資の集積、中継点として大きな役割を果たした。

 避難所や仮設住宅ができ、全国のボランティアが集結した。その際に南三陸町民との縁をつないだのが、式に出席した登米市の経済人たちだ。中には同町の出身者もいて「古里が復興するまでは酒を口にしない」と心に決めた人もいる。

 震災10年へと時は進む。「受けた恩は石に刻め」。町長は周囲にそう語ることが増えたという。
(登米支局長 小島直広)