朝刊作業を終えて深夜に帰宅する。すぐには寝付けない。たくさんの活字を見た仕事の後に読書をする気にもなれず缶ビールを空けるのだが、頭の興奮状態はなかなか収まらない。それで「どうせ眠れないのなら楽しいことを」と漫才や落語を聞くようになった。

 お気に入りは仙台市出身のお笑いコンビ「サンドウィッチマン」。東日本大震災の被災地支援に熱心な2人として紹介される新聞記事はよく読んでいたが、テレビのお笑い番組を見る習慣がなく、本業の内容はあまり知らなかった。

 今更ながら、はまった。テーマ、言葉遣い、掛け合い全てが面白い。コントも最高で夜中にゲラゲラ笑っている。おかげですっきりした気分で寝床に入れるようになった。彼らに遠く及ばなくても、つらさや不安を抱える人にクスッと笑ってもらえるような記事を時には届けたいと思う。

 駆け出しの頃、特ダネを連発する先輩に秘訣(ひけつ)を尋ねたら「笑いを取ればいいんだよ」と涼しい顔。それが「取材相手の懐に深く入り込まないといい記事は書けない」という教えだと理解できたのは、恥ずかしながら随分たってからだった。
(報道部次長 今野忠憲)