人口規模でいわき、郡山両市の後塵(こうじん)を拝する福島県都の福島市。両市の活気がうらやましくて仕方ない市民も、胸を張って誇れる集客施設が市内にある。

 春、夏、秋に中央競馬が開催される福島競馬場。日本中央競馬会(JRA)が東北でただ一つ運営するレースコースは、年20日間の開催日に1日平均約1万2000人を集める。

 市民や競馬ファンには何を今さらだろうが、自分は福島に赴任した昨年春に初めて足を運んだ。サラブレッドの彫刻のような馬体と愛らしい目元、青々とした芝と清潔なスタンドに感動し、不明を恥じた。

 開催日以外も他競馬場の馬券が場外発売され、連日約5000人の来場者でにぎわいを見せる。そんな週末の福島競馬場から人けが消え、何とも寂しい限り。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けJRAは、2月29日から当面の間の無観客競馬を決めた。発売、払い戻しは電話とインターネットだけで、このままだと4月11日開幕の春の福島競馬も無観客になる。

 競馬が市内にもたらす経済効果も計り知れない。感染の終息を待つほかないのか。何とももどかしい。
(福島総局長 佐々木篤)