「いち、ご、はち、きゅう、きゅう」「に、ご、に、きゅう」

 河北新報1面右側にある目次の下の方に毎日、東日本大震災の死者・行方不明者数が載っている。新聞の1~3面の製作を担当するとき、その数字に目を通し反すうする。

 紙面に印刷された文字全てに目を通す。もちろん間違いをチェックするためだが、割ける時間は限られている。他にやるべきことも無数にある。業務の優先度としては見出しや記事の点検が上ではある。

 最近は数が変わることも少なくなった。だが必ず目を通す。ときには数字をぼそぼそ、つぶやくこともある。

 3月11日午後2時46分、社内放送が鳴り仕事の手を止め、立ち上がって目を閉じ、こうべを垂れる。数字を読むのは、自分にとってそれと同じことである。

 震災から9年がたった。この間も大きいニュースが相次いでいる。それでも被災地のメディアとしてニュースを取捨選択する判断の基軸に、震災があるべきだと思っている。数字の重さをかみしめるのは、そう自分に染み込ませる作法でもある。
(整理部次長 八代洋伸)