30年以上前のことになる。長く宮城県北部の首長を務めたKさんが国会議員に転じた。同居していた筆者の父とKさんは古い付き合い。選挙を終えたある日、当選あいさつのため宮城県南のわが家を訪れた。

 そこで家人が家にあったスイカを出してもてなした。後で分かったがこのスイカ、古くて果汁が蒸発してしまいすかすか。食えた代物ではなかった。案の定というか、お付きの運転手は一口食べただけだった。

 一方のKさん、何事もないかのように平然と平らげ、家人に「ごちそうさま」と言ってわが家を後にした。全て筆者が仕事で自宅を空けていた間にあったこと。帰宅後、家人から聞いた。家人は感激、Kさんの熱烈なファンになった。当方はその気遣いに驚いた。

 気遣いとは相手を尊重すること。この国の首相は丁寧に説明するとは言うが、何も本質を語らない。そこに国民を尊重する姿勢を見ることはできない。

 Kさんが亡くなって28年。かつて首長を務めた町へ赴任する記者には、この逸話を伝えて送り出している。筆者が書く最後の本欄、宮城県にこんな議員がいたことを伝えたい。
(紙面管理部次長 相沢英幸)