年度が変わると、写真部の古い機材は順次更新される。ピカピカのカメラを誰もが手にできればいいが、予算には限りがある。全員漏れなく、とはいかない。

 カメラ更新の一応の目安はシャッター約50万回。これを超えると、チャンスを逃してしまう恐れがある。つまりは寿命が訪れる。

 最新鋭の機材は確かに頼もしい。デジタルカメラは今や毎秒10こま以上は当たり前だし、AIを活用した被写体の認識機能も高精度になっている。動画も高画質。動画から静止画を取り出し、紙面で使えるのではと思わせるほど。

 だが、そこには落とし穴も潜む。カメラの性能にあまりにも頼り過ぎてしまうと、撮影対象が見えなくなる。「うまいけど、なんか味わいがないねぇ」なんて具合に、デスクから小言をもらってしまう。

 3月に晴れて定年を迎える職場の先輩が酔うとよく言っていた。「写真は気持ちで写すもの。カメラの性能なんて関係ない」

 アナログからデジタルへ時代が移っても、いつも変わらず写真に気持ちを込めてきた先輩だった。これからも何かにつけ、あのドヤ顔が思い浮かびそう。
(写真部次長 長南康一)