あっという間に、棚から消えたトイレットペーパー。マスク、消毒液はいまだ容易に入手できない。紙類が商品棚に復活して胸をなで下ろしたら、今度は先日まであった体温計が店に見当たらない。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、瞬く間に地域社会に広がった。人間の防衛本能とも言うべきか。こうした消費行動は会津若松市でも見られる。

 物を探し歩いて思い出すのは東日本大震災が起きた10年前。当時は一時的にあらゆる物が店頭からなくなり、不要なボールペンでさえ、見つければ買って安心感を得ていた。今回も人の心理状態は同じだろう。

 「コロナも放射能も目に見えないんだよ」。原発事故で会津若松市に避難する福島県大熊町の男性(67)のつぶやきが頭から離れない。震災丸9年の3月11日、会津若松市で開催してきた追悼行事が新型ウイルスで規模縮小に。目に見えないものとの闘いばかり強いられる巡り合わせに、ただうなずくしかなかった。

 目に見えないものを、どう恐れれば良いのか。「正しい恐れ方」をわれわれはまだ習得し切れていないのかもしれない。
(会津若松支局長 玉應雅史)