一生のうちでも数えるほどしか経験しない手続きに、誰もがあたふたするに違いない。家族を失った直後であればなおさらだ。

 能代市が今月、専用窓口「ご遺族支援コーナー」を設けた。世帯主変更届、年金死亡届など最大約40項目に及ぶ手続きをワンストップで支援する。「悲しみに暮れる遺族に煩雑な手続きは負担。可能な限り簡略化を」との斉藤滋宣市長の言葉は、まさにその通り。

 民間の話になるが、11年前にも同様の取り組みを取材した。税理士や行政書士らでつくる社団法人「行請舎」(仙台市泉区)。保険や相続も含め多様な手続きを網羅的に支援してきた。

 お金のことは本人しか知らない場合も多い。死亡して初めて「借金があった」といったことが分かるという。「隠し子がいた」なんてことも。傷心の遺族の負担はさらに増える。

 能代市の他に同様の窓口を設置しているのは東北では盛岡市だけ。今日も各地の役所で右往左往している遺族がいるのかと思うと頭が痛くなりそうだ。自治体は横並びの仕事が批判されがちだが、優れた住民サービスこそ、どんどんまねしていってほしい。
(秋田総局長 久道真一)