昔はどこの家にもあったオルゴール。今ではあまり見掛けなくなってしまった。ぜんまいを巻き、小箱をそっと開けると、せつなく流れた『乙女の祈り』。
 ここで展示されている数々は、私たちが抱くオルゴールのイメージを完全に吹き飛ばしてしまう。仙台市若林区荒町に開設され、5年目を迎えた「仙台オルゴールサロン」。ゴージャスな家具を思わせる、高さ3、4メートルものアンティークオルゴールが所狭しと並んでいる。
 仙台市の不動産業菊水利之さん(76)が本場の欧米市場やオークションで買い求めたコレクションの集大成だ。一般の博物館はガラス越しに展示品を見るだけだが、サロンではオルゴールに手で触れることができる。「見て聴いて触って、19世紀のオルゴールの魅力を楽しんでほしい」と菊水さん。1人2000円(3人以上の予約が必要)の料金で、癒やしの世界に浸ることができる。
 時に華麗に、時に繊細に刻まれるクラシックの名曲。金属のピンが奏でる澄んだ音色は悠久の時を超える。<凍星(いてぼし)や浄(きよ)き棘(とげ)もつオルゴール 杉山久子>