手芸品を作る。クッキーを焼く。野菜を育てる…。そうやって毎日コツコツ働いて月1万8643円。障害者が授産施設から得る工賃の宮城県平均額だ。この額では「自立」は難しい。親元を離れて住まいを借り、職場に通うという暮らしは、障害の有無を超えて夢のまた夢だ。
 窮状に風穴を開けようとおととし春、「エフブンノイチ」はできた。障害者の就労支援に取り組む仙台市内五つのNPOが青葉区中央で共同運営する実験店だ。従来の公共施設などでの出張販売だけでは客層は広がらないと、街中心部で常設化。陶器や革細工品、焼き菓子など、各施設自慢の品を常時50種以上並べる。
 開店から間もなく2年。喫茶コーナーもありファンは増えてきたが、入居物件の事情で今月でいったん閉じる。3月初めに若林区荒町の仮店舗で再開後、夏以降はまた別の場所での営業を模索する。
 商品の魅力に触れ、買う人が増えれば工賃は上がる。働く意欲も高まる。個人が土産や返礼に取り入れたり、企業がノベルティーに活用したり、われわれも「障害者の自立」の当事者だと心したい。