「自分がここで泣いてはいけない。心でそう思っているのに自然と涙があふれ…(被災者の)家族も隊員もみんな泣いていました」。胸が締め付けられた。
 仙台市若林区のせんだい3.11メモリアル交流館で開催中の企画展。展示された市消防職員の手記には東日本大震災直後、津波が襲った沿岸部で救助に当たった当時の思いが赤裸々に記されている。
 苦悩、怒り、葛藤、無力感-。感情をぐっと抑えた捜索活動。それでもあふれ出る涙。手記の活字を目で追うだけだが、職員の思いがじかに伝わってくる。来場した人は皆無言になる。
 あの日、被災地には消防をはじめ自衛隊や警察が救助に駆け付けた。どれだけ頼もしかったことか。胸の内に触れ、見えてきたのは、彼らがヒーローではなく、ありのままの人間だということだ。
 震災を経験したわれわれ一人一人も、それぞれの思いを持つ。話したり、書いたりして、皆が表に出せるかというと、そうでもない。語れない人もいる。思い出したくない人も。でも忘れてはいけない。企画展は4月22日まで。