ここ数日の暖かさに誘われて、つぼみがだいぶ丸みを帯びてきた。仙台市青葉区本町の錦町公園。円形の広場を囲むように植えられたコヒガンザクラが、間もなく淡いピンク色の花をほころばせる。
 錦町公園と言えば、1998年閉館の市レジャーセンターがあった場所。それにしても跡地に桜とはいったい、誰の粋な計らい? 2003年12月12日本紙夕刊は「地元の『錦』町公園を飾る 桜30本 町内会有志ら寄贈」と伝えている。
 本町商店街で老舗家具店を経営する湯目研一郎さん(41)が「ご近所から『湯目さんの桜』と呼ばれています」と教えてくれた。跡地を桜の新名所にするアイデアを出した一人が、先代で父の故一潔さんだった。本業の傍ら商店街の活性化やまちづくり、仙台箪笥(たんす)の普及などに力を注ぎ、2014年に62歳で早世した。
 会社員を経て古里に戻り、父の没後に社業を継いだ湯目さん。「『地域のために』との思いが強く、ほとんど家にいない人だった。当時知らなかった父の生きざまを、地域の皆さんに教えていただいているような気がする」としみじみ語る。