仙台市青葉区の直木賞作家、熊谷達也さんは高校を卒業後、3年間浪人した。「小説家になったら、苦しさから逃れられるかもしれない」。仙台の予備校に通っていた20歳の頃、SF小説を文学賞に投稿したという。
 東北学院大で先日開かれた講演会で、熊谷さんが文学賞を巡る話をした。中学校の数学教師を経て、保険代理店を営んでいた37歳のときに投稿を再開。2年後に『ウエンカムイの爪』で小説すばる新人賞を受賞し、念願だった小説家の一歩を踏み出した。
 選考委員を務める第2回仙台短編文学賞への期待も語った。「東日本大震災後の暮らしの息遣いを読んでみたい」。仙台で誕生した文学賞がそんな作品の受け皿になればいい。
 実行委員会はジャンル不問で仙台、宮城、東北と関連がある短編小説を募集中だ。締め切りは11月15日。今回は仙台市長賞が新設された。
 「この文学賞をみんなで育てていきたい」。どんな力作が集まるのか、熊谷さんは楽しみに待っている。