「数百億から1千億円ぐらいが目標」。授賞式を前に、景気のいい話をしたのはノーベル医学生理学賞を受ける本庶佑京都大特別教授(76)である。
 若手研究者支援のため先日設立された「本庶佑有志基金」にノーベル賞の賞金を寄付する。がんの免疫治療薬「オプチーボ」の特許料も充てるというから、あながち絵空事ではないかもしれない。
 新たな価値創造のコストは膨大だ。新薬の高価格が取り沙汰されるが、それだけの投資がなされているからこそだ。人材の育成も然(しか)り。近年の研究予算の削減が著しい。国は当てにできない。本庶さんの危機感を見る。科学界の重鎮にお金の心配をさせる国に未来はあるのか。
 きょうは公務員のボーナス支給日。労基法に支給の定めはなく、雇用主によるある種の投資と言えなくもない。額はどうあれ、余得に応え働く意欲を持てれば仕事の成果は上がるのかもしれない。
 本庶さんは言っている。「志がしっかりしていれば、必ずいつか成し遂げられる」。もちろん1千億円の基金集めではなく、がんを制御する方法のことだ。