祭りなどで奉納される神楽は、山伏の修験道に基づきダイナミックに舞ったり神話の世界を表したりと多様な形態がある。神事と芸能の両面で長年親しまれてきたが、人口減や資金難によって神楽団体は危機に立つとされる。
 演劇人の手によって新しい神楽の創作を目指すユニークな公演が11月下旬、仙台市若林区のせんだい演劇工房10-BOXであった。組み立て式神楽舞台の四隅に柱を立てて幣束を巡らせ、白装束の俳優4人が亡き人との再会や不動の精神を願う三つの舞を披露した。
 発案したのは京都市の劇団を主宰する柳沼昭徳さん(42)。「多くの日本人は心のよりどころを失っている。地域に根付いた民俗芸能に学び、現世の辛苦を解きほぐすきっかけにしたい」と狙いを語る。4年前から岩手県の早池峰神楽などを取材して研究を重ねたという。
 柳沼さんらは来年1月、八岐大蛇(やまたのおろち)の神話を題材とする神楽を広島市で上演。全国で同様の創作を続け、10年後に全部を一気に上演する構想を練る。壮大な無形民俗文化財が生まれるかもしれない。