芭蕉の辻。仙台市青葉区の大町通、国分町通の交差点の地名で、伊達政宗が仙台の城下町づくりの起点にした所だ。
 北西角にかつて「芭蕉の辻」と刻まれた大きな石碑があり、1945年の仙台空襲の後、行方不明になった。往時の姿も分からなかったが、それを明瞭に伝える写真が先日、『奥州・仙台の謎解きシリーズ』という冊子で紹介された。
 石碑は35年、政宗の「藩祖三百年祭」の折に建立された。写真は数年後の撮影らしく、地元の人が所蔵していた。
 「銘の揮毫(きごう)は斎藤実元首相。旧仙台藩の水沢(奥州市)出身で、三百年祭の名誉総裁だった」と著者で泉区の郷土史研究家佐々木伸さん(64)。斎藤はこの時、今もある「仙台城址(じょうし)」の石碑、天守台の政宗騎馬像の台座の銘も揮毫した。
 「私も水沢生まれ。古里と仙台をつなぐ歴史を調べたいと定年後に活動を始めた」。斎藤は、三百年祭の翌年に起きた二・二六事件で命を落とす。多彩な逸話を盛り込んだ冊子は、現在4巻まで執筆したシリーズの2巻目。「芭蕉の辻の石碑復元へ、機運を盛り上げたい」