毎朝、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価の配信記事を見て、午前9時に始まる東京市場の動向を確認する。世界同時株安があった昨秋以降の日課だ。
 欲はあるが、度胸がないから株を買ったことはない。仕事柄、値動きを知っておいた方が慌てずに済むので職場のパソコンでチェックしているだけである。
 途方もない数の投資家やトレーダーがこの瞬間、目を血走らせている。生き物のように意図を持ち、絶え間なく数値が変わっていく画面を見ているとゲーム感覚にとらわれる。目端が利き、スピード感が問われる勝負の世界なのだろう。
 ところが、江戸時代の伝説の相場師、本間宗久はこう言っている。「心はやるときは三日待つべし」。3日も待ったら機を逸してしまうと思うのは早とちり。事に当たる時は、高ぶる心を静めよ-。客観的判断は取引の要諦なのだ。
 酒田に生まれ、江戸や大阪の米相場で財を成した本間。考案した分析法「酒田五法」はAI時代の今も売買の基本として生きているそうだ。奥深い世界である。やはり、素人は容易に手が出せない。