突然、車内に良く通る男性の声が響き渡り、ドキッとした人もいたはずだ。年末年始、仙台市地下鉄南北線と市バスで流された声優による車内アナウンスだ。
 中身は映画の宣伝。「映画館には地下鉄のご利用を」と呼び掛けていた。映画と地下鉄を同時にPRする市交通局初のタイアップ企画という。筆者以外にも驚いた人はいたようで、クレームも数件あったと聞く。
 「次は仙台、仙台」「携帯電話はマナーモードに」。車内はアナウンスであふれ返っている。商業広告まで半ば強制的に聞かされるのは苦痛でしかない。
 大阪では車内放送がうるさいとして、裁判で争われたケースも。原告は市営地下鉄の商業広告を聞くよう強制するのは人格権の侵害だと訴え、最高裁まで争った。「囚われの聴衆事件」と呼ばれる。
 請求は棄却されたものの、補足意見で「わが国では音による日常生活への侵害に対し鋭敏な感覚が欠如し、静穏な環境の重要性に対する認識が乏しい」と指摘した。朝晩、囚われの身となる私たちが音の洪水から逃れるすべはないものか。