今年は来月7日の「北方領土の日」が少し気になる。先週あった日ロ首脳会談では、期待された2島の引き渡し交渉がさっぱり進まなかったようだ。
 ロシア人にとって領土は力の象徴。どんな小さな島であろうと何十年たっても大切なのだろう。何せ千島を巡る日ロの争いは江戸時代からずっと続いている。
 本紙連載「異能の幕閣」(2016年)によると、仙台藩も一枚かんでいた。江戸中期、仙台に生まれ幕府若年寄まで出世した堀田正敦(ほったまさあつ)という俊傑の仕事である。19世紀初めごろ、藩医に漂流民の体験談集をまとめさせロシア情報を収集。相次ぐ紛争に対しては、蝦夷地に自ら赴いて事態を収め、北方警備を固めた。
 こうした外交・軍備の積み重ねによって両国は通好条約を結び、千島の択捉島とウルップ島との間に晴れて国境線を引いた。それが1855年2月7日。
 毎年、原点に戻ろうと全国で啓発行事が催されるが、ロシアで今回あったような激しい抗議活動にはなるまい。日本らしく地道に粘り強く。かすむ領土交渉。堀田ならどんな戦略でいくだろうか。