あるシンポジウムが仙北市であった時のこと。その地に伝わる「白岩焼」の湯飲みを愛用していた話をした。残念ながら、あの東日本大震災で食器棚から飛び出て陶器類はざくざくに割れて…といういきさつも交えて。
 その会場にいた方が気の毒に思ってくれたのか、先日、白岩焼の湯飲みと酒杯が送られてきた。添えられた手紙に「私たちは6年前から『古白岩焼』への挑戦をして参りました」とある。
 白岩焼は秋田藩の保護を受けて隆盛を誇ったものの、明治に入って衰退し、途絶えた。40年ほど前に復興し、送ってくださった人たちは、大昔の白岩焼の再現に取り組んでいるらしい。
 紺色に雪のような白が交じる分厚いぼってりした釉薬(ゆうやく)が特色。繊細さとは縁遠い土臭さ。日用雑器として広く使われたようで、手になじみ、親しみが湧く。
 いかにも酒飲みが多い秋田らしく、酒杯は結構大きめで、この欄の筆者にはちょうどいい。深い青色だから、夏、冷酒がぴったりだなと思う。一杯、一杯、また一杯…李白の詩が頭をよぎる。